平成17年度公開情報 事業報告書

平成17年度事業報告

1.概要
 17年度は事業計画に沿った活動を実施し、会員並びに国内外関係者の期待に概ね応えうる
成果を得た。国際関連活動としては17年11月6?9日に「海洋科学技術に関する太平洋会議
(PACON2005)国際会議」が台湾・彰化で開催され、これに参加する参加者を募った。国際会
議として10月27?28日と「第3回伊勢・志摩海洋国際会議」を本協会と三重県、伊勢市で三重
県、伊勢市、鳥羽市及び鳥羽水族館との共催で開催した。民間助成活動では、「河口・海岸域
における生物生息場の機能と環境影響に関する調査研究」、「タイ国におけるスズ等の採掘が
もたらしたヒ素その他重金属汚染による河口・海岸域までの環境修復と改善活動」、「フィリピ
ン・セブ島及び沿岸域の水質汚染域における生物生息環境回復事業」を行い、相応の成果を
あげた。
 平成18年3月24日時点での会員構成は、正会員43団体、賛助会員の個人会員10名である。
 今期は理事会を3回、通常総会を2回、運営委員会を2回開催し、運営全般について審議を
行った。

2.自主調査研究事業
 (1)「 21世紀の海辺づくり調査研究」をテーマとし、協会の鬼頭理事を中心に人工ゼオライトを
   利用した沿岸海域の開発と自然環境の回復を目指す各種調査研究活動を行った。今年
   度は人工ゼオライトの利用方法に関し、その基本性質の再検討と酸性土壌緑化事例の 
   検討、鉄鋼スラグの干潟材料への適用及び流域の改善についての研究と報告を行っ  
   た。

3.助成・依託事業
 (1) 独立行政法人環境再生保全機構・地球環境基金による「フィリピン・セブ島及び沿岸域の
   水質汚染域における生物生息環境回復事業」を行った。本事業は16年度から始めた継 
   続事業である。フィリピン・セブ島周辺海域は美しいことで日本でもよく知られているが、 
   近年この島の沿岸部の環境悪化が広まっている。また、都市部の河川海岸域でも重金 
   属汚染が確認されているため、水の清浄化のための水質改善を図り、魚介類を含めた 
   海藻、サンゴ類の生態系を復活させ、生物生息環境を回復させる活動を行ってきた。本
   事業は18年度も継続することで環境改変ができるよう事業を行う予定である。
  (2) 公益信託日本経団連自然保護基金による、東南アジアにおける環境保全事業として「タ
   イ国におけるスズ等の採掘がもたらしたヒ素その他重金属汚染による河口・海岸域まで 
   の環境修復と改善活動」を行った。事業内容は、タイ・マレー半島奥地でのスズ鉱石採掘
   を原因とした重金属汚染された水の流出から、内陸部ひいては河川、海岸域生態系への
   影響を回復させ、そこで生活する人々にいくらかでも利用可能な水を供給することを目的
   としている。また、この水浄化事業と併せて実施方法の指導、技術移転を行う。2006年1 
   月に現地に渡航し、現状調査と水浄化による環境回復活動を行った。この事業は協会と
   協力関係を持つ企業の協力を得て、平成17年度までの3年間継続して行った。本年度は
   現地スタッフの報告や依頼を受け、同様の被害が見られるミャンマーの関係者とも協議 
   を行った。今後も現地スタッフとの連絡を更に密にして、助成金事業だけに留まらず事業
   の拡大も検討していきたい。
 (3) 財団法人河川環境管理財団の河川整備基金助成による「河口・海岸域における生物生
   息場の機能と環境影響に関する調査研究」委員会を5回行った。今年度は「海草類と海 
   草・藻場」、「藻場研究にかかる幾つかの課題」、「藻場研究にかかる幾つかの課題」、  
   「陸奥湾におけるアマモ類藻場の造成と漁業」の研究成果を検討し、今後の河口・海岸域
   の生物生息場回復手法についてのマニュアル作成について討議を行った。これにより、 
   生物生息場の機能と環境影響の検討と共に報告書の作成に着手した。また、これまでに
   作成してきた報告書を基に指針となる図書の作成準備作業を行った。

4.国際情報活動
 (1) 海洋科学技術に関する太平洋会議(PACON2005)への参加
   2005年11月6日?9日に台湾・彰化において「海洋科学技術に関する太平洋会議(PACON
   2005)」国際会議が開催された。当協会は同会議への論文発表者及び参加者の募集を 
   行い、派遣した。
 (2) 10月27、28日に三重県・伊勢市において「第3回伊勢・志摩海洋国際会議」を開催した。 
   本会議は、三重県に面する海をいかに有効利用するかを考えるため、「豊かな海と明日
   の環境を考える」をテーマに海洋資源、海洋環境の保全、海の文化について講演を行っ
   た。演目には「水産資源活用」、「海洋環境技術」、「21世紀の海辺づくり」、「海洋と文化」
   に分かれ研究成果の発表おこなった。参加者は4つの特別講演、4つのセッション、フォー
   ラム、交流会、現地視察会の延べ人数で731名の来場があった。

5.広報
  機関誌JIMSTEF News Vol.8 No.1?2合併号を刊行し(平成18年1月刊行)、会員、関係者
へ配布した。

6.その他
 (1) 公益信託日本経団連自然保護基金の事業内容の報告のため、基金担当者に対し現地
   での活動内容、効果、今後についての事業報告会を9月21日に開催した。
 (2) 環境NGOと市民の集い「Let's エコボランティア&エコ就職」が11月23日に開催され、当協
   会が海外で行ってきた環境浄化、回復事業を紹介した。会場には200名を越える聴講者
   が参加し、説明後の個別面談においても活発な質疑応答を行った。
 (3) 海洋に関連する行事に積極的に参加、協力、援助を行う協会の活動趣旨に沿って、日本
   海洋工学会(下記の9学会の関係者で組織された任意団体)が実施している海洋工学パ
   ネル(2回/年)の事務局を務めた。17年度の海洋工学パネルは、平成17年7月27日と平
   成18年1月30日に開催した。
      日本海洋工学会加盟学会
       海洋音響学会、海洋調査技術学会、(社)資源・素材学会、石油技術協会、(社)土 
       木学会、日本沿岸域学会、(社)日本建築学会、日本水産工学会、(社)日本船舶海
       洋工学会