平成16年度公開情報 事業計画書

平成16年度事業計画書
1.概況
1-1 会務の運営
 本年度は、通常総会、理事会、運営委員会を下記の通り開催する予定である。また、必要に
応じて臨時総会も開催する予定である。
  通常総会  年間2回(5月及び翌年3月、必要に応じて臨時総会を1回程度開催)
  理事会 年間2?3回
   運営委員会 年間3?4回(この他、国際小委員会を2?3回開催)

1-2 「企業情報紹介・意見交換会」の開催、「JIMSTEF News」、「原著論文集」の刊行
 情報サービス事業として、以下の事業を行う。
 (1) 「企業情報紹介・意見交換会」を年1?2回開催する。当協会会員が研究、開発している 
  事業を会員だけでなく広く紹介する場を提供し、会員間及び異業種との交流を行うことで新
  たな販路、アイディアの発掘に寄与することを目的として、平成14年度から開催している。
 (2) 「JIMSTEF News」は、当会の活動状況をお知らせする機関誌(ニュースレター)として、引
  き続き年2回程度発行する予定である。併せて、原著論文を掲載するための論文募集、編
  集、刊行作業を日本海洋工学会と協同して行う予定である。

1-3 調査研究事業
 本年度は自主調査研究事業を2件、助成・委託事業を6件実施する計画である。また、本事
業に掲げていない案件についても、自主、委託、補助・助成等の如何を問わず、追加、開拓に
努める。
1-3-1 自主調査研究
 前年度から実施中の事業のうち、会員参加型の自主調査・研究事業2件を予定している。当
協会は、会員企業に対し、これらで得られた事業情報を提供することとする。
 (1) 「21世紀の海辺づくり調査研究」(継続)
   海洋環境を保全する観点から人工ゼオライトを利用し、水質浄化、藻場造成、農地の改
   善等に活用し、新しい陸域・海浜の創造に資する。本年度は新潟県と三重県において、 
   主として人工ゼオライトを用いた水質浄化、農地の地力回復を目指す活用方法を検討す
   る。
  a: 新潟県では、人工ゼオライトの持つ高い陽イオン交換機能を生かした利用を研究す  
    る。ここでは水質浄化、農地への保肥力向上、悪臭対策、堆肥化促進の機能を生かす
    ための添加量、使用方法やそれに対する効果等の調査研究を行う。
  b: 三重県では、水槽やいけすで魚介類の高密度飼育時に発生するアンモニア態窒素等
    の高濃度化を改善するため、人工ゼオライトの機能の研究を行う。実験においては魚 
    類の高密度飼育時における人工ゼオライト投入の効果について基礎データの集積を行
    う。
 (2)「干潟造成マニュアル」の作成(新規)
   河口・海岸域の造成と管理に関する調査研究委員会で作成した報告書を基に、内容を一
   般にもわかりやすくした図書を新たに刊行することを目指す。昨年度までの委員に編集 
   協力を頂き、文章、図表を新たに加えたものとする。
1-3-2 助成・委託事業
 本年度は6件の実施を予定している。助成事業の助成先およびテーマは、環境事業団から
の「フィリピン・セブ島の汚染海域における生物生息環境回復事業」、公益信託日本経団連自
然保護協議会からの「マレー半島におけるスズ採掘がもたらしたヒ素、その他重金属汚染によ
る河口・海岸域までの環境修復と改善活動」、財団法人河川環境管理財団からの「河口・海岸
域における生物生息場の機能と環境影響に関する調査・研究」、日本財団からの「日本海域
に生息するイガイに関する海洋環境研究」、独立行政法人日本万国博覧会記念機構からの
「2004新潟海洋国際会議」である。委託事業は「泥土有効活用技術研究業務委託」を予定して
いる。
 前年度は期中に「2004新潟海洋国際会議」への助成申請以外に新規受託事業は行えなか
ったが、さらなる新規案件等の発掘に努める。また、各種機関の公募型事業に対して会員各
位からも情報を入手し、それを生かした助成・委託・補助事業の拡充に努める。
 (1) 環境事業団・地球環境基金「フィリピン・セブ島の汚染海域における生物生息環境回復 
   事業」(新規)
   これまで環境事業団から平成9、10、11年度はベトナムの、平成12、13、14年度はインド 
   ネシアでの沿岸海域環境回復事業に対し助成を頂いてきた。フィリピン・セブ島周辺海域
   は美しいことで日本でもよく知られているが、近年この島の沿岸部の環境悪化が広まって
   いる。これを低コストで広範囲の堆積物を除去し、水質改善を図り、海藻・サンゴ類を回 
   復させ、生物生息環境を回復させることを目的とする事業を行う。またこれまでと同様に、
   東南アジアの南シナ海を囲む沿岸国であるフィリピンにおいて、海藻栽培による生物生 
   息環境および漁獲量の回復、水質浄化、CO2削減、海藻の食用ならびに薬用に活用す
   ることによる地域活性化に向けた事業も併せて行う。
  (2) 公益信託日本経団連自然保護協議会「マレー半島におけるスズ採掘がもたらしたヒ素、
   その他重金属汚染による河口・海岸域までの環境修復と改善活動」(継続)
    タイ、マレー半島ではスズ鉱石等鉱物資源の採掘による土壌汚染から、河川、貯水池、 
   地下水に重金属汚染をおこし、地域の生態系に悪影響を及ぼしている。これらからの早
   急な回復、解決のため、現状の調査、水質浄化と生態系回復の手段について検討、実 
   施する。
  (3) 河川環境管理財団・河川整備基金「河口・海岸域における生物生息場の機能と環境影響
   に関する調査・研究」(継続)
    平成9?14年度まで同財団の河川整備基金により、河口・海岸域の生態系環境評価およ
   び造成と管理について調査研究を行ってきた。15年度からは干潟・浅場の環境機能の多
   様性に焦点を置き、その機能を明らかにすると共に、物質循環機能を定量的に明らかに
   する。そこからより効果的に自然への回帰を目指す干潟・浅場の藻場造成による地域の
   改善を提言することを目標とし、事業を進める。
 (4) 日本財団「日本海域に生息するイガイに関する海洋環境研究」(継続)
   富栄養化の進んだ海域がイガイの好む場所であり、水質のバロメーターとも言われてい
   るが、イガイを有効利用し赤潮等の発生を抑えるなどのプロジェクトはいまだ活発に行わ
   れていない。また、イガイは別名ムール貝とも呼ばれ、欧米では盛んに食用に供せられて
   いるが、わが国でも食糧資源の確保という観点からも研究する価値がある。今年度はこ
   れらを含めた呼吸作用による水質浄化や、赤潮発生の阻止等、イガイによる沿岸域環境
   浄化とその活用法の道筋を解明する。
  (5) 2004新潟海洋国際会議
   200海里体制の中でますます沿岸域の資源管理や有効性が必要とされており、国際会議
   を開催する新潟県でも取り組んでいる漁場造成、海洋深層水、海洋レクリエーション等に
   関する研究成果の発表の場を提供すると共に、新潟県だけでなく、アジア太平洋地域の
   各国との意見交換・交流から、国内外へ情報発信することを目的とする。演目には「食 
   (農林水産物)」、「ちから(エネルギー・資源)」、「うるおい(観光・交流)」をテーマとした発
   表・展示を行う。
  (6) 泥土有効活用技術研究事業(継続)
   平成13?15年度まで山形県飯豊山系の砂防堰堤に堆積する腐泥残土を肥料等施肥材
   に有効活用できるよう基質変換を行う活用技術の研究を行ってきた。本事業はこれまで
   に行って得られた知見を基に実海域における施肥材の効果検証を行うことを目的とす  
   る。

1-4 現地視察、国際交流、国際会議への参加、協力、実施等
 上記の自主並びに補助・助成事業等においては、これまで同様、全国各地の関係先の現地
で視察や調査を行うことを考慮し、かつ広く地域との交流や自治体、漁業関係機関、研究教育
機関をはじめとする海洋関係諸機関との交流を深める所存である。
 当協会が関係する国際会議として、5?6月にかけてPACON2004国際会議(アメリカ・ハワイ)
が開催されるが、当協会でも発表者、参加者を募り参加する予定である。この他、PACON、
ECOR国際委員会の活動を通じて、欧米や東南アジア他、海外諸国の海洋関係機関との日常
的な情報交換、交流を継続的に取り組む。
 (1) 「海洋科学技術に関する太平洋会議(PACON2004)」の参加
   海洋科学技術に関する太平洋会議(PACON:Pacific Congress on Marine Science and  
   Technology)はアメリカ・ハワイに本部を、アジア太平洋諸国及びドイツに支部を置き、太
   平洋を取巻く海洋科学技術に関する諸問題に対し学術交流、情報交流を行っている。 
   2004年5月30日?6月4日に、ハワイ・ホノルルにおいて「海洋科学技術に関する太平洋会
   議(PACON2004)」国際会議が開催される。協会は同会議への論文発  表者及び参加
   者の募集にあたる。
 (2) ECOR国際委員会の活動
  ECOR(Engineering Committee on Oceanic Resources)国際委員会(海洋の資源利用に 
   関する工学委員会)は国連UNESCOの諮問機関であり、当協会の前身はその日本支部
   としてスタートしている。その経緯を踏まえ、種々の海洋情報交流活動を継続実施してい
   る。現在の会長には当協会副会長である堀田健治日本大学教授が就任している。平成
   16年度の国際委員会理事会日程は現在のところ調整中である。
  (3) 新潟での海洋国際会議の開催
   新潟県において「2004新潟海洋国際会議」を開会するにあたり、新潟県と協同して現地 
   窓口との対応、企画、準備と会議を開催し、海洋の産業、資源、観光業等の発展に寄与
   する活動を行う。本国際会議では、独立行政法人日本万国博覧会記念機構からの助成
   金を頂き事業を進めることとしている。
  (4) 日本海洋工学会への事業協力
  海洋音響学会、海洋調査技術学会、資源・素材学会、石油技術協会、土木学会、日本建
   築学会、日本水産工学会、日本造船学会の8学会からなる日本海洋工学会のパネル(講
   演会)開催活動、出版事業、その他事業について協力し、海洋工学の発展に寄与する。
   また協会事業との協力を図り、共同して論文集の発行、情宣等活動を行う。

2.協会運営
 平成16年度についても会費収入は相変わらず楽観を許さない状況であるが、上記の他にも
委託事業、公募型事業への申請案件等もいくつかあり、これらの事業化に努める。
 支出に関しては、諸経費の削減に一層の努力を行い、全体として堅実な運営に努める。尚、
収入源の基礎である会員会費収入の確保のため、活発な活動に努める。自主調査研究事業
については、多数の会員の参加があってはじめて事業計画の達成が可能となるので、各位の
積極的なご協力をお願いする次第である。