平成15年度公開情報 事業報告書

事業報告書
1.概要
 15年度は事業計画に沿った活動を実施し、会員並びに国内外関係者の期待に概ね応えうる
成果を得た。国際関連活動としては15年12月に「海洋科学技術に関する太平洋会議
(PACON2003)国際会議」が台湾・高雄市で開催され、これに参加する参加者を募った。国際
ECOR活動として9月29、30日にイギリス・ロンドンにおいて理事会が開催された。協会代表とし
てかつ、国際ECOR会長として堀田健治副会長が出席した。民間助成活動では、「河口・海岸
域における生物生息場の機能と環境影響に関する調査研究」、「スズ鉱石採掘によるタイ・マ
レー半島海岸域の環境汚染修復と改善活動」、「ムラサキイガイに関する海洋環境研究」、「泥
土有効活用技術研究業務」を行い、会員に関連情報を提供した。
 平成16年3月24日時点での会員構成は、正会員43、賛助会員の個人会員7である。
 今期は理事会を2回、通常総会を2回、運営委員会を2回開催し、運営全般について審議を
行った。

2.自主調査研究事業
 (1) ベンチャー企業育成フォーラムの開催
   協会会員の持つ新たな技術を紹介する場を提供することを目的として、第2回ベンチャー
   企業育成フォーラム(企業情報紹介・意見交換会)を1月23日に開催し、約20名の聴講者
   を集めた。今回は天潤環境開発⑭から「無機系中性凝集固定分離剤ピュアクリーン等」 
   を、⑭ゼネシスから「海洋温度差発電について」の2題の発表を行って頂いた。
 (2) 「湾内環境改善について」をテーマとし、調査研究を行う前に事前調査等を行ったが、今
   年度は継続研究を行わないこととした。
 (3) 「21世紀の海辺づくり調査研究」をテーマとし、協会の鬼頭理事を中心に人工ゼオライトを
   利用した沿岸海域の開発と自然環境の回復を目指す調査研究活動を各種行った。今年
   度は人工ゼオライトを新潟県の農地への利用と、鳥羽水族館での水浄化機能確認試験
   を行うこととし、研究を開始した。

3.助成・依託事業
 (1) 環境事業団地球環境基金へ「フィリピンにおける海藻栽培による地域活性化事業活動に
   ついて」を新規申請したが、対象となるフィリピン現地の治安状況が悪いことから受託さ 
   れなかった。フィリピンの事業協力者とも協議し、事業計画を見直し、次年度に再度申請
   することとした。
  (2) 公益信託経団連自然保護基金による、東南アジアにおける環境保全事業として「スズ鉱
   石採掘によるタイ・マレー半島海岸域の環境汚染修復と改善活動」を行った。本事業は 
   今年度から始まる継続事業と考えている。事業内容は、タイ・マレー半島奥地でのスズ鉱
   石採掘により金属汚染された水の流出から、内陸部ひいては河川、海岸域生態系への 
   影響が報告されている。この環境状況の調査と環境回復を目的とし、水浄化事業と併せ
   て実施方法の指導、技術移転を行うこととした。2003年8月、2004年1、2月に現地に渡航
   し、現状調査と水浄化による環境回復活動を行った。この事業は協会会員の天潤環境 
   開発の協力を得て、平成16、17年度も継続して行うことを考えている。今後は現地スタッ
   フとの連絡を更に密にして、助成金事業だけに留まらず事業の拡大も検討していきた  
   い。
 (3) 河川環境管理財団の河川整備基金助成による「河口・海岸域における生物生息場の機
   能と環境影響に関する調査研究」委員会を4回行った。今年度は「アマモ場における問 
   題」、「アマモの純生産量の推定と生長様式等について」、「ガラモ場とその環境を測る」、
   「数学モデルを用いたカジメ海中林の生産生態の理解」の環境造成事例と環境影響等に
   ついてのプレゼンテーションと議論を行い、生物生息場の機能と環境影響の検討と共に、
   報告書の作成に着手した。また、これまでに作成してきた報告書を基に指針となる図書 
   の作成を検討した。
 (4) 日本財団の助成による「ムラサキイガイに関する海洋環境研究」を行った。当事業は3年
   間の継続事業である。今年度はムラサキイガイの国内各地での採取、体内貯蔵物質量 
   の分析、呼吸作用による水質浄化機能、能力の調査、分析を行った。3月22日には本年
   度事業の報告、広報を兼ねた研究報告会を行った。
  (5) 飯豊山系砂防事務所より事業委託を受け、「泥土有効活用技術研究業務」の委託事業 
   を昨年、一昨年度に引き続き行った。本事業は、山形県飯豊山系における砂防堰堤をス
   リット化することにより、堆積する土砂の流出が及ぼす水生生物等自然環境への悪影響
   を防止するため、汚濁水浄化と堆積土砂の有効活用に関する研究を行うことを目的とし
   ている。今年度も13、14年度に引き続き、会員のセルス河川海岸環境研究所と共に成果
   の拡充をはかるため、泥土有効活用技術の向上の検討等、実現に向けた可能性を高め
   る研究を行い、一応の成果を上げた。

4.国際情報活動
 (1) 海洋科学技術に関する太平洋会議(PACON2003)への参加
   2003年6月29日?7月3日に台湾・高雄市で開催する予定だった国際会議は、東南アジア
   で感染が広がったSARSの影響で、11月30日?12月3日に開催が延期された。当協会は
   参加者を募り、これに参加した。
 (2) 本年度は国際ECOR理事会が9月29、30日にイギリス・ロンドンで開催された。国際ECOR
   の活動は現在低調気味ではあるが、今後も各国の研究者が研究、広報活動を継続して
   行っていくこととした。
  (3) 2004年に新潟県で、2005年に三重県において海と人とのつながりを考える海洋国際会議
   の開催希望を頂き、準備としてそれぞれの県の関係者と開催に向けての打合せと、開催
   日程、会場、講演内容等の開催準備を行った。

5.広報
  機関誌JIMSTEF News Vol.6 No.1を刊行し(平成15年12月刊行)、会員、関係者へ配布し 
  た。

6.その他
 (1) 海洋に関連する行事に積極的に参加、協力、援助を行う協会の活動趣旨に沿って、日本
   海洋工学会(下記の8学会の関係者で組織された任意団体)が実施している海洋工学パ
   ネル(2回/年)の事務局を務めた。15年度の海洋工学パネルは、平成15年7月28日と平
   成16年1月30日に開催した。
       日本海洋工学会加盟学会
         海洋音響学会、海洋調査技術学会、(社)資源・素材学会、石油技術協会、
         (社)土木学会、(社)日本建築学会、日本水産工学会、(社)日本造船学会