平成14年度公開情報 事業報告書
平成14年度事業報告書
1.概要
14年度は事業計画に沿った活動を実施し、会員並びに国内外関係者の期待に概ね応えう
る成果を得た。国際関連活動としては14年7月に「海洋科学技術に関する太平洋会議
(PACON2002)国際会議」を千葉県幕張市で開催した。ECOR活動は当年度に理事会開催が無
かったことから特段の活動を行わなかった。民間助成活動では、「河口・海岸域の生態系環境
造成と管理に関する調査研究」、「インドネシアの沿岸海域生態系回復のための環境改善事
業」、「フィリピンにおける地域住民参加型藻場造成活動」、「泥土有効活用技術における汚濁
水浄化技術研究」を行い、会員に関連情報を提供した。
平成15年3月31日時点での会員構成(入会申込を含む)は、正会員44、賛助会員の個人会
員4である。
運営委員会を2回開催し、運営全般について審議を行った。
2.国際情報活動
(1) 本年度は国際ECOR理事会が開催されなかったので、特段の活動は行わなかったが、研
究、広報活動は継続して行っていくこととした。
(2) PACON日本事務局として関係者及び協会会員に対し事業広報を行い、7月に千葉県幕
張メッセ国際会議場で会議を開催した。併せて特別フォーラム5題、ポスターセッション2題
を同時開催した。投稿論文件数281編、参加登録者は298名(内日本189名、海外109名)、
参加国数17カ国、展示8社・団体の参加があった。
(3) 11月3日にマレーシア・ペナン島において、世界の水産資源の調査研究を行う世界的団
体の「World Fish Center」が開催したFish for All Summitに堀田健治副会長と猪口事務局
長が出席した。ここでは世界各国の研究者が水産資源の有効利用、活用について討議
し、今後の人口問題と絡めて意見交換、ポスターセッション等の発表を行った。
(4) 沖縄県、新潟県および三重県において海と人とのつながりを考える海洋国際会議の開催
希望を頂き、準備としてそれぞれの県の現地関係者と開催に向けての打合せを行った。開
催日程、会場、内容等は今後の協議により決定する。
3.助成・依託事業
(1) 河川環境管理財団の河川整備基金助成による「河口・海岸域の生態系環境造成と管理
に関する調査研究」委員会を6回行った。今年度は三河湾、浜名湖、英虞湾の環境造成事
例と有明海に生息するイトゴカイに対する環境影響等について議論し、沿岸域環境改善手
法と河川・環境の管理方法の検討と共に、報告書(マニュアル)を作成、着手した。
(2) 環境事業団の地球環境基金助成による、東南アジアにおける環境保全事業として「インド
ネシアの沿岸海域生態系回復のための環境改善事業」において、11月末から12月始めと3
月にインドネシアに渡り、現地研究者と12、13年度と沈設したコンクリート魚礁の効果と周
辺状況について討議・検証を行った。現地では海藻の着生と生物の蝟集効果の検証、地
元住民への環境保護、改善の啓蒙活動と技術移転を目的として活動を行った。この事業
は平成14年度で終了したが、今後も事業効果の確認を現地スタッフと連絡を取り合うことと
した。
(3) 公益信託経団連自然保護基金による、東南アジアにおける環境保全事業として「フィリピ
ンにおける地域住民参加型藻場造成活動」を行った。本事業は平成12、13年度からの継
続事業で、フィリピンの海岸域生態系回復を目的とし、施肥による藻場再生実験と実施方
法の指導、技術移転を行った。12月に現地に渡り継続調査を依頼した。この事業は平成
14年度で終了したが、今後も事業効果の確認を現地スタッフを通じて行うこととしている。
(4) 飯豊山系砂防工事事務所より事業委託を受け、「泥土有効活用技術における汚濁水浄
化技術研究業務委託」の事業を昨年度に引き続き行った。本事業は、日本大学及び会員
のセルス海岸環境研究所山形県飯豊山系における砂防堰堤をスリット化することにより、
堆積する土砂の流出が及ぼす水生生物等自然環境への悪影響を防止するため、汚濁水
浄化と堆積土砂の有効活用に関する研究を行うことを目的としている。今年度も13年度に
引き続き、成果の拡充をはかるため、室内実験、検討等実現に向けた可能性を高める研
究を行い、一応の成果を上げた。
4.自主調査研究事業
(1) ベンチャー企業育成フォーラムの開催
協会会員の持つ新たな技術を紹介する場を提供することを目的として、第1回フォーラム
を1月15日に開催し、約30名聴講者を集めた。今回は⑭フジモト様から「土質再生剤GEOビ
ースターの海草床への応用」を、前田建設工業⑭様から「石炭灰を有効利用した環境資源
「人工ゼオライト」について」の2題の発表を行って頂いた。
(2)「湾内環境改善について」をテーマとし、国内各地の湾奥の浚渫土砂採取による海底凹地
の有効活用について検討する委員会をおこす予定であったが、実態に関する情報収集、
関係機関との調整が滞り調査研究活動を休止している。今後会員企業に事業情報を提供
することを目的として活動を行なえればと考える。
(3) 「農漁村を対象とした新しい村おこしに関する調査研究」をテーマとし、地域特性、住民の
潜在労働力活用をベースに、新しい村井おこしを図るための調査研究を企画した。この調
査研究開始に当たっては、情報収集、関係機関との調整が滞り調査研究活動を休止して
いる。今後会員企業に事業情報を提供することを目的として活動が行えればと考えてい
る。
(4) 「海洋構造物への付着生物の生態系調査研究」をテーマとし、研究者、協会会員等を募
り、調査研究委員会をおこした。新たにテーマを「ムラサキイガイに関する調査研究」と変え
て15年度より調査研究事業を行うこととした。併せて、日本財団へ研究助成金の助成を申
請し、15年度からは助成事業として進めることとなった。
(5) 「21世紀の海辺づくり調査研究」をテーマとし、協会の鬼頭理事を中心にフライアッシュを
利用した沿岸海域の開発と自然環境の回復を目指す調査研究活動を行った。今年度は人
工ゼオライトを活用した経済的で耐久性の高い海用コンクリートの配合設計の検討、活用
方法と経済性を検討した。
5.広報
機関誌JIMSTEF News Vol.5 No.2を刊行し(平成14年10月刊)、会員、関係者へ配布した。
6.その他
海洋に関連する行事に積極的に参加、協力、援助を行う協会の活動趣旨に沿って、日本
海洋工学会(下記の8学会の関係者で組織された任意団体)が実施している海洋工学パネ
ル(2回/年)の事務局を務めた。14年度の海洋工学パネルは、平成14年7月30日と平成15
年1月31日に開催した。
日本海洋工学会加盟学会
海洋音響学会、海洋調査技術学会、(社)資源・素材学会、石油技術協会、(社)土
木学会、(社)日本建築学会、日本水産工学会、(社)日本造船学会